塾長の独り言 なぜ暗記は繰り返さなければいけないのか?
今日は天塾がしつこく言う、「暗記は繰り返した回数で決まる」
について述べたいと思います。
高校生までの学習はほとんどの分野で暗記が要求され
ます。
つまり「暗記を征する者が高校までの勉強を征する者」
です。
ではなぜ暗記は繰り返さなければいけないのか?
それはズバリ、暗記はそのあと一切繰り返さなければ
当たり前のことですが、時間の経過と比例してドンドン
忘れていくからです。
これは心理学でも立証されています。
エピングハウスの忘却曲線という有名な心理学の理論で
証明されています。
分かりやすく説明すると
ある一つのことを覚えたとします。
それは一度も繰り返さないと4時間後に人間の脳は
50%忘れてしまいます。
更にそのあとは緩(ゆる)やかに忘れていき、なんと
1週間後には覚えた分の80%を忘れてしまいます。
だから一度暗記したものを試験まで持続させるには
試験までの間、定期的に何回も見直さないとすぐ
忘れてしまうという事なのです。
恐ろしいでしょう?
また暗記には「短期暗記」と「長期暗記」の2種類の
タイプがあります。
文字どうり[短期暗記]は短い期間だけ暗記してればよい
タイプの暗記のことです。
いわば皆さんがよくやっている定期テスト用の暗記です。
これは1~2週間前(ひどい人は一夜漬け)から
皆さんが必死になって覚えて、試験が終わると2度と
勉強しないタイプの勉強です。
つまり短期勝負(要は100メートル走みたいな短距離
レース)なのでその短い間に繰り返し覚えるだけでよい
のです。但し、本物の実力は身に付きません。恐らく
試験が終わったら皆さんは2度と見ないのですから・・。
「長期暗記」とは中学受験、高校受験、大学受験さらに
司法試験のような長期期間準備してその長い間勉強した
ことすべてを暗記していなければいけないタイプの勉強
です。
当然暗記はやらなければ忘れていくので、「長期暗記」
は一年ないし一年半くらいの期間に積み上げたものを
試験当日まですべて忘れないで暗記していなければ
いけません。(要はマラソンのような長距離レース)
その為には今までやった所を定期的に常に見直す必要
があります。
だから受験勉強は定期テストで成績を上げるより
はるかに難しく大変な作業が要求されるのです。
でもその対策は実はそれほど難しく有りません。
4時間後に半分忘れるのですから、およそ6時間から
7時間後に一度見直せば記憶は蘇(よみがえ)ります。
つまり寝る前に暗記したところを次の朝にもう一度
見直すだけです。それだけで忘れた50%の記憶は
かなり復元されます。
あとは1週間後に80%忘れるので、3日から~4日間隔
で見直していけば記憶はかなりの割合で維持できます。
さらに定期的に繰り返した回数が多ければ多いほど記憶の
定着度とスピードは徐々に増していきます。
つまり勉強というものは繰り返す回数が多いほど
吸収する理解度もスピードもどんどん上がっていくの
です。
これは心理学用語で「アクセルリピート現象」といい、
要は暗記を繰り返せば繰り返す(リピート)ほど暗記量
は定着し、その覚えるスピードが繰り返すたびにドンドン
早くなる(アクセル)という現象です。
これでいかに暗記は繰り返しが大事なことなのか
良く分かったと思います。
東大に入る人はそれは多少生まれつき頭が良い要素
もあるかもしれませんが、所詮高校生までの勉強は
暗記です。つまりそういう人は小さい時から
理解して暗記する作業を何度も繰り返しており、
すでに習慣になっています。だから暗記作業を繰り
返しやることが苦になりません。
彼は受験の前までにあなたの数倍。いや数十倍同じ
暗記作業を繰り返しているのです。
つまり
貴方と彼の差は「頭の良さの差」ではなく、その作業
を集中していかに繰り返せるかという「習慣の差」
なのです。
つまり超重要ポイントは
一度覚えたことは「次の日の朝もう一度見直す」
そして「1週間以内に必ずもう一度見直す」です。
その後定期的に忘れそうなところを注意して
見直していく「継続作業」です。
これが「長期暗記」の極意です。
以上